運命学へ(7)
何がききたいですか、と占い師は言った。命式をだすのに五分程度の時間がかかっていた。運命コードの八字を書いていく作業なんて、いまは AI が一瞬にしてやってくれる。時間かせぎなのか、一種のパフォーマンスなのか。わたしは表情を変えずに、自分の運気について知りたいと告げた。占い師はしばらくの沈黙のあと、三年後に運の変わり目がきますと答えた。いいほうに変わりますかと訊くと、占い師は顔をしかめて、「いまはものすごくしんどい時期ですな。自分のなかにたまる一方で、吐き出すことができない。一種の糞詰まり、ですわ」と言った。わたしは占い師の言葉を批判的に聞いた。運命鑑定などに来る人間は、たいてい何らかの行き詰まりを感じている。そういう意味ではあたりはずれのない言い方だ。