思い込み
人は自分の都合の良いように物事を思い込む。「偶然は神」とばかり、偶然におきた事柄を、さも自分にだけ特別に起きた事柄のように考える。それはなぜかというと、誰も自分という人間に関心も興味も持ってくれないからだ。年齢が高くなればなるほど、自分に興味や関心をもってくれる人の数が減少する。見た目の美しさとか、若さのもつ力のようなものがなくなるからだ。そのことを自分は、無意識的にも意識的にもよく知っている。自分しか自分をひきたてて贔屓して特別扱いしてくれる人間がいない。そんなことを自分はよく知っている。これは一面では悲しいことかもしれないが、一面では幸せなことだ。自分で自分を評価できる人間になったということで、それまでの人様の評価をあてにするような人生を生きなくてもすむようになったということだ。勝手な思い込みも、それが人様に実害がないとすれば、そう悪いことではない。