蟠桃(バントウ)
蟠桃という名の桃がある。形は平べったくていびつだが、甘くておいしい桃だ。かの中国の物語に登場する孫悟空が、不老長寿を願って食べた桃とも、古事記に登場するイザナギが、黄泉平坂で邪気払いに投げた桃とも言われている。蟠桃の蟠という字は、虫偏に番と書き、この字は蛇がとぐろを巻く様子を表している。 とぐろを巻いた蛇から何を連想するだろうか。人間の抱く不平や不満をこの字は象徴している。とぐろを巻くとは、身をかがめて、不平不満に満ち満ちて、自分ではどうにもならないほど怒りのこみあげてきている状態だ。とぐろを巻いたあと、次にどういった展開があるだろう。