『易』の特徴三つ

 『易』は『易経』ともいい、儒教の経書の一つです。「経」の字はもともと織物の縦糸の意で、そこから筋道、道の意味となり、人の生きる道、天下国家を統治する道、宇宙を動かしている道を解き明かしたものを意味することになりました。

『易』の特徴は以下の三つです。

第一の特徴は、『易』は占筮(うらない)のテキストであることです。古代中国では国の大事を決定するのに、多く占いによりました。殷の時代には、亀の甲を灼いたときのひびわれの形で吉凶を占う方法が多く用いられましたが、周の時代になると、亀卜より筮のほうがより多く用いられました。

第二の特徴は、『易』が処世の智慧に満ちていることです。『易』は、その神秘的な予見の作用によって、物事の起こるわずかな兆しを示すだけでなく、いかにすれば禍を避けることができるかを教える点で、実際的な処世知の書物となっています。

第三の特徴は、思想の書であるということです。つまり「道」を明らかにする哲学、中国のことばでいう天人之学を追求したもので、その宇宙論的哲学は東洋哲学の礎となっています。

以上、『易』について書いてみました。

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