ギルガメッシュ叙事詩
ギルガメッシュって、どこかで聞いたことがありますか?
これは、1872年、大英博物館で、ジョージ・スミスによって発見された占星術に関する最古の文献です。ギルガメッシュとは、シュメール語で英雄の意ですが、じつは、旧約聖書に語られているノアの大洪水のあとに、シュメール帝国を統治した実在の君主の名なのです。
ギルガメッシュ叙事詩のあらすじをざっと語ると、英雄ギルガメッシュはウルクの王で、三分の一は人間で、三分の二は神でした。ウルクに城壁を築き、女神イシュタルのために神殿を建て人民を酷使したため、怒った神が天から怪物エンキドゥを差し向けました。エンキドゥはギルガメッシュと格闘し、互角の引き分けとなったあと、ギルガメッシュと無二の親友になりました。
逸楽と淫蕩の女神イシュタルの色香に迷わず、ギルガメッシュはイシュタルにつれなくしました。自尊心を傷つけられたイシュタルは、復讐の鬼と化し、父なる天の神アヌウに、ギルガメッシュを亡き者にするため、天の牛を遣わすよう頼みました。しかし逆に、ウルクに向かった天の牛を、ギルガメッシュとエンキドゥが虐殺します。天の牛を殺した者には、死という運命が待ち受けていました。エンキドゥの突然の死を見て、ギルガメッシュは怖れおののき、不死の霊薬を求めて旅に出ます。
ギルガメッシュは聖者の島に渡って、ついにそこに生い茂る不死の霊芝草をつみとります。帰路の途中、この霊芝草は蛇に盗み食われてしまいます。ギルガメッシュは不死は神のものであり、人間は死すべきものであることを思い知ります。
ギルガメッシュ叙事詩によると、ノアの大洪水の生存者だけが不死を獲得したことになっていますが、このノアの大洪水は、月と太陽および他の惑星の合の結果であると記されています。このように粘土書板に刻まれたギルガメッシュの叙事詩は、文献という形で現存する最古の占星予見なのです。