運命学へ(66)
四柱推命は『老子』に思想的影響を強くうけている。二千数百年前に書かれた『老子』は、同時期に成立したとされる『論語』とは違って、ある限定された人物による書物であるという確証がない。その根拠として一つには、『論語』のように、具体的な地名や人名がまったく書かれていないことがあげられる。『老子』は全篇が抽象的な議論に終始しているのだが、そこには深い人生訓ともいうべき人生のエッセンスがつまっている。通説にしたがって「道」を、世界を世界たらしめている根源的で普遍的な作用と考えて、この「道」の働きが具体化したものを「存在」とすると、『老子』においては「道」と「存在」は一体化している。ヨーロッパの伝統的形而上学のように、それらは別個のものではない。「存在」の前後左右に「道」などないのである。