運命学へ(56)

高知に到着し、本に記載されてある地図どおりに歩いて行ったら、人相見の指定した場所に行き着いた。その人相見は決まった事務所で鑑定をしているのではなく、商店街のある一角で仕事をしていた。わたしが腰をおろしたのは、アーケードとアーケードの間に設けられた広場におかれたベンチだった。ほんとうにそんな場所に人相見が姿を現すのか、なんてまったく疑いもしなかった。五分ほど待っただろうか。和服姿の中年男が、わたしの名前を呼んだ。写真と寸分たがわず非常に整った顔立ちの男が、目の前に立っていた。この人があの本の著者なのかと妙に感心しながら、わたしは通り一遍の挨拶をした。近くのコーヒーショップで鑑定がはじまった。とにかく晩年がいいという言葉以外、ほかにも何か言われたが、いまとなっては思い出せない。ただどういうわけか、その人相見は、本を読んで遠いところからわざわざ来てくれたんだからと歓迎してくれて、鑑定後に近くのレストランで食事を奢ってくれた。

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