運命学へ(49)
ミラーには、五回結婚、五回離婚という華々しい婚姻歴がある。最後の妻は日本人だ。狂信的に愛することに熱中するあまり結婚という事態を招いてしまうのだが、結局、退屈な現実生活である結婚を維持する資質に欠けていたため、何度も離婚する羽目になった。日本人妻の証言によると、結婚前、誕生日が11月14日だったことが、ミラーの恋心を奮い立たせる要因になったらしい。11月14日生まれの東洋人であることが、ミラーにとって何か格別の意味があったのだろう。当時のミラーは七十歳をゆうに超えていたから、老体を鞭打っての、相当に入れあげた恋だった。八十歳を超えて、とうとう五番目の妻とも破局を迎えてしまうことになったが、その後もモデルの女性に恋をし、ラブレターを送り続けた。八十八年の人生のなかで、ミラーは最後まで誰かを狂信的に愛し続けるという自分の姿勢を貫いた。しかしその愛の質は、相手にどういった影響を与えたのであろうか。離婚後に自殺した女性や罪を犯した女性もいて、傍目にはどの女性も離婚後に幸せな人生を送ってはいなかったように見える。