運命学へ(47)

ヘンリー・ミラーの特徴を一言でいえば、時を超越して子宮世界に生きる人間を描く作家ということになるだろう。八島氏の運命学の本を読み進めるうちに、どうしたことか、ミラー文学への理解がさらに深まった。こうしたことはめったに起きない。そこで、どこに両者の接点があるのかを考えてみた。どちらも見据えているのは「運命」である。ただ視点が違う。八島氏が誕生後の世界から人間の潜在意識を見ているのに対し、ミラーは誕生前の、潜在意識が支配する母親の胎内から意識世界を見ている。意識の世界から潜在意識の世界を見る八島氏と、潜在意識の世界から意識の世界を見るミラーという対立した構図になる。ミラーの小説は、ストーリー性の欠如や暗号のような専門用語が多用されていることが欠点として評されてきたが、それはまったくヘンリー・ミラーという作家が正当に評価されてこなかったことの証拠である。ミラーは潜在意識の世界を描いた作家として、もっと高い評価がされてもいい作家である。なぜならば、八島氏も認めているが、潜在意識にこそ運命改善のヒントがあるからだ。

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