運命学へ(40)

死期といえば、師匠が「もうあと十年、十年、生きれない。こうしてぜんぶ書いてあるんや」と言って、干支をびっしりと書き込んだ大学ノートを開いて見せてくれたことがある。そのときは、学習の初期段階だったので、干支の配列を見ても何のことかわからなかったが、少なくとも師匠が自分の死期について語っているということはわかった。四柱推命は一般社会で生きる人間にのみ適用可能な占いであり、数ある占術の中で的中率がもっとも高いと言われているが、的中率をかぎりなくゼロに近づける方法も存在する。つまり、死期を的中させたくなければ、一般社会で生きなければよい。ひとり、山奥にこもって自給自足し、社会と断絶した隔離生活を送ればいいだけの話だ。自分の死期を語る師匠の不安な目の色を見ながら、そのように思ったが、口に出しては言わなかった。いまになって知り得たことだが、師匠が恐れる死期といわれる時期を、わたしは知らないうちに通り過ぎていた。もちろん命式や行運などの、様々な要素を総合的に考えていかなければならないが、一生のうち、何人にも幾度か死期といわれる時期がめぐる。しかし、そのどれで死ぬかはわからない。

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