運命学へ (10)
「母親には困っとるわ。しょうもない。たまには顔を見せろと言われても、顔を見たくもない相手やから無理や。親子関係ちゅうもんは、一年や二年で出来上がるもんやないから」と、そこからは延々と自分の母親への呪詛の言葉が続いた。自分の運命が知りたくて鑑定の場に臨んだはずなのに、お金を払って人様のぼやきを聞かされるはめになった。ひょっとしてこれは「客払い」というテクニックなのだろうか。話の切れ目ですかさず要求された額の鑑定料を支払って、紺色の扉のノブに手をかけた。背後から「占い師に向いてますよ」という声が聞こえた。「もし四柱推命をやりたくなったら、いつでも連絡ください」とも。そんな風に後から声をかけるのは、印象深くするテクニックの一つなのだろうか。