運命学へ(31)
師匠は十五回も転職し、ようやく占い師という生業に落ち着いた。四柱推命では大きく二種類に人様の命式を分ける。身強の命式と身弱の命式だ。身が強いとは、自己が潜在的に持っているエネルギーが大きいことを指し、身が弱いとはこれの逆である。四柱推命では、エネルギーの強弱だけを問題とはしない。十年ごとや一年ごとに巡りくる行運と誕生時に決定した運命式とのエネルギーバランスが重要で、身の強さ弱さで幸運や不運は決定しない。また、どちらかが特に優れているといった判断もしない。師匠は身の強い運命式をもった人だった。だからその観点からいろいろな事物を見ているのかもしれない。もし師匠が身の弱い人だったら、人生、四行しかないとは言わないだろう。それどころか人生、四行もある。この一行一行に示された文字が、その人の人生の課題を如実に語っており、今まで生きて、そのうちのどれだけを達成し終えたのかと問うかもしれない。