運命学へ(13)
命式を出したらすぐに、客に向かって性格やら行動パターンやらを片端から話せ。最初にそれがどれだけ言えるかで客は占い師を判断する。人の性格や行動パターンを表しているのはここだ。師匠はわたしのノートのある一点を指さしながら言った。十ある通変星のひとつひとつを、いろいろな人でその特徴を確かめてノートに書き留めろ。そのノートこそが、占い師としてやっていくときの武器になり財産となる。師匠は瞬きをせずに一気に話すと、ふうと息を吐いて椅子に座った。その後は趣味で育てているバラの話になった。シュバルツ・マドンナという名の、ドイツで品種改良された深紅の剣弁咲きの花。師匠は園芸書にある育て方の解説をあからさまに批判した。その日の教えはここまでだった。四柱推命とバラの組み合わせから何が生まれるのか。この問いが師匠の思考方法の鍵になると思った。