自分を変える10
軽速歩に慣れてきたころ、インストラクターに鞍の購入をすすめられた。クラブ内で物品販売のノルマがあるようだ。え、と驚くような値段を言われたせいで、そのクラブをやめる決意を固めた。初心者に鞍をすすめるとはどういうことか。怒りにも似た感情が沸き起こってきた。その後いろいろと他のクラブを探したが、適当なところが近くになかった。取りあえず、インストラクターと顔を合わせるのが嫌になり、そこの乗馬クラブはやめた。そうして二か月もたったころ、もうほとんど乗馬のことは忘れてしまっていたが、以前とは違う駅でまた、乗馬のパンフレットをもらった。なつかしい感じがして、立ち止まって話を聞いた。以前と同じ系列のクラブだった。新しくオープンするので、20分無料個人レッスンのキャンペーンをしているから来ませんか、ということだった。わたしはまた性懲りもなく、二つ返事で承諾した。