出会った人
人生には出会いが重要だとはよく言われている。若いころに出会った人によって、その人の人生が決定されるとも。まず身近なところからいえば、親や兄弟、親戚だろう。どういった親のもとで生をうけるかだ。親のどういった形質や体質の遺伝をうけるか、親は裕福か貧困か、思想や信条はどうかなど。人生スタート時の環境といったところだ。二十歳前後で出会う人は、今振り返ると、いちばん人生への影響が大きかったように思う。いまだに自分はその人の影響を受けているとか、あるいは連絡をとろうと思えばとれる人とか全部で二人だ。
二人とは、少ない数字だろうか。通り過ぎていった人はもっとたくさんいるが、自分のなかに残っている人は二人だ。一人はわたしのことを「不思議ちゃん」と呼んだ。もう一人は、わたしのことを「語彙に乏しい」と言った。肯定的な表現と否定的な表現。二人とも背格好も顔もよく似ている。美形とは言い難く、一見どこにでもいそうな平凡さなのに、そのくせ大ぜいのなかにいても、一瞬にして間違いなく見出せるような、そんなところが似ている。この二人が人生のなかで現れては消えを繰り返し、わたしに多くのことを感じさせ考えさせた。
二人とは、少ない数字だろうか。通り過ぎていった人はもっとたくさんいるが、自分のなかに残っている人は二人だ。一人はわたしのことを「不思議ちゃん」と呼んだ。もう一人は、わたしのことを「語彙に乏しい」と言った。肯定的な表現と否定的な表現。二人とも背格好も顔もよく似ている。美形とは言い難く、一見どこにでもいそうな平凡さなのに、そのくせ大ぜいのなかにいても、一瞬にして間違いなく見出せるような、そんなところが似ている。この二人が人生のなかで現れては消えを繰り返し、わたしに多くのことを感じさせ考えさせた。