魔法使い

『魔法使いサリー』というアニメを見て育った。映像自体きれいだったが、それよりも何よりも、日常とは違う魔法の世界を描いているのに強く惹かれた。サリーが杖を一振りすると、目の前にあるものが急に変化する。そこにあるはずのないものが急に出現する。また、そこあるはずのものが急に消滅する。子供時代、わたしは、魔法使いになりたいと願ったものだ。
 よくよく考えてみれば、今まで生きて、魔法使いが唯一なりたいと思った職業?だった。現在の職業は、ただなんとなく、周りの言葉を真に受けて、それが自分にとって正しいことと信じて就いた。適性みたいなものも影響したのかもしれない。精神的にさほどのストレスも感じずにやれてきた。こういうのは、天職ではなく、適職というべきだろう。
 世間の基準に自分をあわせて、世間並みなことを言って、平均的で常識的な生き方を自分に強いてきた。変な人と誰にも思われたくなかったから。妙齢のおばさんが、魔法使いになりたいなんて。小学生にだって変だと思われる。こんな風に、他人様からの評価にきゅうきゅうとして人生を送ってきた。
 だけど、そんな自分を捨てることにした。断捨離ブームとコロナウィルス騒ぎが、大きく影響している。仕事にいけない期間は、ほとんど職業人である自分を忘れている。こんなこと、いままでの自分の人生にはなかった。ぽっかりと空いた宙づりの時間。まるで人生のブラックホールに迷い込んだかのような。

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