自分を変える8
軽速歩をするようになると、馬装を覚えなければならなかった。馬に鞍をつけるやり方は一度では覚えきれないほど複雑で、何度も乗馬教則本を読んだりユーチューブの動画を見たりした。特に馬にハミを咬ませるのは、直接自分の掌にハミをのせて馬の口元に触れなければならなかったから、難易度が高かった。すっと素直にハミを口の中に入れてくれる馬もいれば、そうではなく、頭を高くあげて、ハミを口の中に入れさせない馬もいた。そういうときは、インストラクターに丸投げした。そのときに気がついたことだが、馬は年齢が高くなると、前歯がなくなっている場合がある。これは人間と同じで、若い馬のほうが歯はきれいに揃っている。そういったことに気がついて、ハミはうまく咬ませられなかったが、自嘲的な満足感のようなものを感じた。馬も人間と同じように、年をとると歯が悪くなる。