自分を変える6

馬の背中に乗ってゆっくりと歩くだけで精神に良い影響を及ぼす、といった内容の文章を読んだことがある。そのときは、そんなものかなと思ったが、いま、自分がそれを実践している。なるほど、これか。揺れるというのは、母親の胎内にいるときからずっと経験してきている。動物に生まれた以上、まったく動くことなしに人生をまっとうすることはない。自分はいま原初の世界の経験を再現しているのだ。そう思った。ずっとこのままで、上のクラスには進むことなんて考えないで、ゆっくりと歩くだけの乗馬を楽しもう。さきほどの乗馬への挫折感は、この瞬間に克服された。馬の背中に乗って姿勢をただすと、目ははるか先の前方を見ることになる。まるで未来に向かって天馬に跨っているようだ。下を向くと、地面と二つの耳の突き出した角ばった馬の頭が見えた。馬の頭は上から見ると、思ったよりも小さかった。体は大きいけれど、脳は小さいせいなのだろう。耳付きの帽子をかぶった幼稚園児の頭を後ろから見ているようで、かわいいと思った。

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