自分を変える2

初めてまぢかで馬を見た。昔読んだ『黒馬物語』を彷彿させるような真っ黒の馬だった。横に並んで立つと、馬のクビあたりにこちらの目の位置がきて、あちら側がまったく見えない。馬は想像以上に大きかった。黒い壁が目の前に立ちはだかっている。わたしは言いようのない恐怖にかられた。まず、馬自体がこわかった。馬は従順な動物とは聞いていたが、あちらこちらで時々発生する馬による事故でケガをしたり、命を失ったりする人の話も聞いていた。馬に蹴られたり、足を踏みつけられたりするような状況に、いつ何時、自分がまきこまれるかわからない。それから、視界を、一部であっても、遮られるということが、さらにわたしの恐怖心をあおった。乗馬インストラクターが馬の左横に立ったわたしに、手綱を右手でもって歩き出すよう指示した。心臓がとまりそうになった。

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